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誉田哲也「インビジブルレイン」

インビジブルレインインビジブルレイン
(2009/11/19)
誉田 哲也

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姫川シリーズの4作目。父性をテーマにした保険金詐欺絡みの『ソウルケイジ』、姫川玲子警視庁奮闘記的な短編集『シンメトリー』と、『ストロベリーナイト』で派手に発進して以降、どんどん地味になっていくが、これはどうやら意図的なものらしい。ストロベリーナイトみたいな派手な事件は現実ではそうそう起こらない、と誉田氏。なるほど。そういう意味では、リアル警察小説としてより深化しているとも云えるし、過去作でキャラクターを作り込んであるので、それだけでも充分に読ませる。
で、Amazonから引っぱってきた梗概はこう…

姫川玲子が新しく捜査本部に加わることになったのは、ひとりのチンピラの惨殺事件。被害者が指定暴力団の下部組織構成員だったことから、組同士の抗争が疑われたが、決定的な証拠が出ず、捜査は膠着状態に。そんななか、玲子たちは、上層部から奇妙な指示を受ける。捜査線上に「柳井健斗」という名前が浮かんでも、決して追及してはならない、というのだが…。幾重にも隠蔽され、複雑に絡まった事件。姫川玲子は、この結末に耐えられるのか。

姫川シリーズで、本格的な暴力団絡みは初になりますね。で、本作は久しぶりに姫川がメインで出ずっぱり。そればかりか、イマハルさんやガンテツ、林さんといったシリーズ通じた名脇役もデバってくるし、さらに、和田捜査一課長や下井刑事など、“姫川以前”の世界を形成する面々が続々と登場して、オヤジ臭さも満点!あ、井岡もちゃんと出てきます(笑)

ただ、そうしたキャラ祭り(?)の中で冴えないのが、姫川班の面々。今回は姫川の恋愛模様も加味されているのに、菊田は何処?…といった感じで隅に追いやられている始末。
はたして本作も地味ながらも姫川シリーズが大きく転換する事件となるだけに、姫川班の人物像をもうちょい描き込んで欲しかった。
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.26 2012 BOOKS comment0 trackback0

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Author:機械猫髭
片田舎の某フリーランサー。当ブログは個人的な外部記憶装置として始めました。内容は和製のミステリ&ホラー、そしてSF。それと文庫派なので、ハードカバーやノベルズが文庫化されると買い換える派です。

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